【リアル10巻を障害者視点で読んで】
2011.04.09 Saturday
09:43
09:43
リアル10巻
リアル10巻を読みました。
また今回も泣きました。
知らない人のために端的に言うと、
これは「バスケ×障害」の漫画。
(作者は超有名漫画「スラムダンク」を描いた井上雄彦)
主人公は3人。(高校生)
車いすバスケの選手、戸川。
交通事故で下半身麻痺になった高校バスケキャプテンの高橋。
その高橋にバスケ部でいじめられ退学になった
バスケ大好きヤンキー?野宮。
この「リアル」というタイトルを、
どういう意味で作者がつけたのかは知らないけれど、
「障害者」を聖人扱いせず、
いいことも悪いこともありのままに伝えている「リアル」な本だと思います。
それ以外にも親子の関係や、高校生活、仲間などを
夢物語でも理想論でもなく「リアル」に描いています。
読み始めた時は健聴者だったことも手伝って、
「障害者」が主人公というのは、
「なにか」を背負っている人を描くための
ただのアイコンやフィルターだと思ってました。
彼らの過去や視点を通じて、
人間関係、生き方について考えさせられる本だと思ってました。
いや、もちろんそれは今も変わらないんだけど、
今は、障害者視点の「あるある」本として
自分の思いを「リアル」に代弁してくれる本になってしまったのは
なんともいえない皮肉です。
視点を変えれば、
私の「あるある」がたまたま「障害者」だけど、
ある人にとっては、バスケだったり、親が離婚してることだったり、
またある人にとっては、いじめにあっている描写だったり、事故の加害者だったり
他にも私が思いつかないような視点での「リアル」がぎゅっと詰まっていそうです。
さてさて、
泣いてしまったというのは、高橋くんの一言。
※以下ネタばれあり
「しがみついていくしかないんだ」って一言に、涙。
障害を持つまでの高橋君は、クラスの中心的存在で、
高校バスケ部のキャプテンで、女の子にもモテまくっていて
何も怖いものもなく、自分をランク付けるとしたら
間違いなくAランクだと自負しています。
ところが、事故をきっかけにどん底へ。
下半身が動かないこと、
しかも二度と回復しないことを通告され、
自分はEランクどころか底辺だと思うように。
足を失っていきなり車いす生活ができるわけなく、
訓練の必要があるのですが、
あまりにもハードな上に、
車いす人生に対して明るい未来が描けないため
モチベーションの維持ができません。
わりと、彼の考えに、自分の考えがシンクロしてしまいます。
障害者だからって、
何に対しても素直に頑張ったり、くじけないというわけじゃないってこと。
障害を受け入れることの難しさ、
かつての仲間たちと隔たれた孤独感。
それが高橋君からはビシバシ伝わってきます。
で、「やる気」がなかなか出ない高橋君が
ついに10巻にして、「車いすバスケ」と対峙するわけです。
昼のリハビリの時間に久々に触ったバスケットボールと、
車いすバスケのメンバー。
普通の漫画なら、ここで
「へい!一緒にバスケしようぜ(キラーンと満面の笑顔)」
「いいぜ!」
と爽やか青春が繰り広げられる所ですが、
そうはいかないのがこの漫画。
ただ、高橋君は見学するだけです。
でもそこで、久々にバスケットボールに触り、
選手にパスします。
たった、それだけなんですが、
彼の中で何かが変わった。
そして、夜、一人でこっそり体育館に向かってしまう。
「しがみついていくしかないんだ」って。
みっともなくても、
他人からみたら小さな一歩でも、
それでも、自分でみつけた「何か」にしがみついた高橋君に拍手を送りたい。
自分もしがみつかないとなって、胸がいっぱいになりました。
ここまでの苦しい道のりをよくぞ乗り越えたね!っていう親心でほろり。
障害を受け入れて、それでも前を向かないといけないんだよねと共感して、ほろり。
生きていくって、キレイごとじゃないんだよって、またほろほろり。
ここまでずっと葛藤して、苦しんできて、
何か壁を乗り越えても、また次の壁に阻まれる姿を読んできているので、
ようやくちょっと彼を支える柱になりそうな展開にホッ。
高橋君、ぜんぜんいい子じゃなくて、むしろ嫌な奴なのに、
良かったな〜って思っちゃいました。
話はだいぶそれますが、
この本を読んでいたおかげで、だいぶ助けられました。
障害を受け入れていくときに、
無理にがんばらなくてもいいって心の余裕が生まれこと。
あと、恥ずかしい話ですが、
毎日おそろしいスピードで難聴が進んでいって、
同時にめまいと吐き気と腹痛も酷くて、
一人で日常生活を送ることが困難だったとき、
正直、もう生きていくのが辛いと思っていた日々がありました。
どうやったらだれにも迷惑をかけずに人生を終えることができるんだろうって
ことばっかり考えてました。
でも、そのとき「子供を残しては死ねない」って思ったんですよね。
なんでそう思ったんだろ〜ってよくよく考えてみたら、
この本で、父親が突然いなくなった子供の哀しみが描かれていて、
そこで大号泣したことがあったんですよ。
子どもにとって、親の存在がいかに大きいか。
この漫画の中で、自分がいなくなった後の息子の哀しみを
仮想体験できたから、今も私は生きているのかも。
そのときの感情が心のどこかに残っていたから、
今の自分がいるんですね。
有名漫画家がこの題材を扱ってくれていてよかった。
と、障害者視点でこの漫画の感想を語ってみました。
それ抜きでも十分面白いです。
今も昔も泣ける本です。
リアル10巻を読みました。
また今回も泣きました。
知らない人のために端的に言うと、
これは「バスケ×障害」の漫画。
(作者は超有名漫画「スラムダンク」を描いた井上雄彦)
主人公は3人。(高校生)
車いすバスケの選手、戸川。
交通事故で下半身麻痺になった高校バスケキャプテンの高橋。
その高橋にバスケ部でいじめられ退学になった
バスケ大好きヤンキー?野宮。
この「リアル」というタイトルを、
どういう意味で作者がつけたのかは知らないけれど、
「障害者」を聖人扱いせず、
いいことも悪いこともありのままに伝えている「リアル」な本だと思います。
それ以外にも親子の関係や、高校生活、仲間などを
夢物語でも理想論でもなく「リアル」に描いています。
読み始めた時は健聴者だったことも手伝って、
「障害者」が主人公というのは、
「なにか」を背負っている人を描くための
ただのアイコンやフィルターだと思ってました。
彼らの過去や視点を通じて、
人間関係、生き方について考えさせられる本だと思ってました。
いや、もちろんそれは今も変わらないんだけど、
今は、障害者視点の「あるある」本として
自分の思いを「リアル」に代弁してくれる本になってしまったのは
なんともいえない皮肉です。
視点を変えれば、
私の「あるある」がたまたま「障害者」だけど、
ある人にとっては、バスケだったり、親が離婚してることだったり、
またある人にとっては、いじめにあっている描写だったり、事故の加害者だったり
他にも私が思いつかないような視点での「リアル」がぎゅっと詰まっていそうです。
さてさて、
泣いてしまったというのは、高橋くんの一言。
※以下ネタばれあり
「しがみついていくしかないんだ」って一言に、涙。
障害を持つまでの高橋君は、クラスの中心的存在で、
高校バスケ部のキャプテンで、女の子にもモテまくっていて
何も怖いものもなく、自分をランク付けるとしたら
間違いなくAランクだと自負しています。
ところが、事故をきっかけにどん底へ。
下半身が動かないこと、
しかも二度と回復しないことを通告され、
自分はEランクどころか底辺だと思うように。
足を失っていきなり車いす生活ができるわけなく、
訓練の必要があるのですが、
あまりにもハードな上に、
車いす人生に対して明るい未来が描けないため
モチベーションの維持ができません。
わりと、彼の考えに、自分の考えがシンクロしてしまいます。
障害者だからって、
何に対しても素直に頑張ったり、くじけないというわけじゃないってこと。
障害を受け入れることの難しさ、
かつての仲間たちと隔たれた孤独感。
それが高橋君からはビシバシ伝わってきます。
で、「やる気」がなかなか出ない高橋君が
ついに10巻にして、「車いすバスケ」と対峙するわけです。
昼のリハビリの時間に久々に触ったバスケットボールと、
車いすバスケのメンバー。
普通の漫画なら、ここで
「へい!一緒にバスケしようぜ(キラーンと満面の笑顔)」
「いいぜ!」
と爽やか青春が繰り広げられる所ですが、
そうはいかないのがこの漫画。
ただ、高橋君は見学するだけです。
でもそこで、久々にバスケットボールに触り、
選手にパスします。
たった、それだけなんですが、
彼の中で何かが変わった。
そして、夜、一人でこっそり体育館に向かってしまう。
「しがみついていくしかないんだ」って。
みっともなくても、
他人からみたら小さな一歩でも、
それでも、自分でみつけた「何か」にしがみついた高橋君に拍手を送りたい。
自分もしがみつかないとなって、胸がいっぱいになりました。
ここまでの苦しい道のりをよくぞ乗り越えたね!っていう親心でほろり。
障害を受け入れて、それでも前を向かないといけないんだよねと共感して、ほろり。
生きていくって、キレイごとじゃないんだよって、またほろほろり。
ここまでずっと葛藤して、苦しんできて、
何か壁を乗り越えても、また次の壁に阻まれる姿を読んできているので、
ようやくちょっと彼を支える柱になりそうな展開にホッ。
高橋君、ぜんぜんいい子じゃなくて、むしろ嫌な奴なのに、
良かったな〜って思っちゃいました。
話はだいぶそれますが、
この本を読んでいたおかげで、だいぶ助けられました。
障害を受け入れていくときに、
無理にがんばらなくてもいいって心の余裕が生まれこと。
あと、恥ずかしい話ですが、
毎日おそろしいスピードで難聴が進んでいって、
同時にめまいと吐き気と腹痛も酷くて、
一人で日常生活を送ることが困難だったとき、
正直、もう生きていくのが辛いと思っていた日々がありました。
どうやったらだれにも迷惑をかけずに人生を終えることができるんだろうって
ことばっかり考えてました。
でも、そのとき「子供を残しては死ねない」って思ったんですよね。
なんでそう思ったんだろ〜ってよくよく考えてみたら、
この本で、父親が突然いなくなった子供の哀しみが描かれていて、
そこで大号泣したことがあったんですよ。
子どもにとって、親の存在がいかに大きいか。
この漫画の中で、自分がいなくなった後の息子の哀しみを
仮想体験できたから、今も私は生きているのかも。
そのときの感情が心のどこかに残っていたから、
今の自分がいるんですね。
有名漫画家がこの題材を扱ってくれていてよかった。
と、障害者視点でこの漫画の感想を語ってみました。
それ抜きでも十分面白いです。
今も昔も泣ける本です。
リアル、私も読んでます。さて、何巻まで読んだかな?発行ペースが遅くて、チェックがおろそかになりがちです。本屋に行かねば(笑)
高橋君、スイッチ入りましたか。どちらか言うとイヤなキャラですよね(苦笑)投げやりなところまでしか読んでいないので、また感想アップしますね。
さて、仕事に入ります!